自分に役に立つ不動産管理会社とは

3.自分に役立つ不動産会社とは

前ページでは、オーナー様の視点で考える不動産管理会社のシステムの違いを説明しました。
次に説明するのは「空室」「値下がり」「修繕費用」「滞納」といったやっかいな問題を乗り切るために、自分に役立つ不動産会社と上手に付き合う方法です。

【「管理」と「仲介」】
特に賃貸に力を入れている不動産会社の業務は、「仲介業務」と「管理業務」の2つに分けることができます。
仲介・・・オーナー様から預かった物件を入居希望者に紹介し、賃貸借契約にまで導く業務。
管理・・・家賃集金や苦情処理、建物設備のメンテナンスなど、賃貸経営に必要なことをオーナーに代わって行ったりアドバイスしたりする業務。

これらの業務の、どちらを主体にしているかによって「賃貸仲介会社」と「賃貸管理会社」と、呼び名を分けて、話をすすめたいと思います。結論から言えば、オーナー様に役立つ不動産会社とは「賃貸管理会社」であるべきなのです。

【スタンスの違い】
スタンス、つまり、どのような立場で仕事をするか、ということですが、
「仲介を主体とする会社(以下、仲介会社)」は、オーナー様と借主さんの真ん中という立場にいます。利害が対立しやすい両者の間にいて調整する、といったところです。
「管理を主体とする会社(以下、管理会社)」は、100%、オーナー様側の立場です。「オーナー様の賃貸経営における収益向上」が目的だからです。

※わかりやすく説明している為、上記が必ずしも当てはまるわけではありません。
  ちなみにエステートサービスは、オーナー様と借主様の調整をする「不動産管理会社」となります。
  つまり、双方(仲介会社と管理会社)の業務をこなすわけです。
※「収益の向上」とは、単に家賃収入を増やすとか、経費を節約するのが目的ではありません。
  「家賃収入」-「経費」=「収益」の計算式の通り、収入と経費の差額を最大にするのが目的です。
  必要であれば経費を増やしても、結果として収入が確保できれば収益を増やすことができます。

立場がオーナー様側と言っても、借主さんに敵対する、というわけではありません。むしろ借主に快適に暮らしてもらう事が、オーナー様の収益を向上させるためには不可欠です。商売の基本は顧客(借主)の満足が第一だからです。だから、オーナー様の利益のために、徹底して借主の満足を追求するのです。このとき大切なポイントは、管理会社はオーナー様に対して「イエスマン」ではならない、ということです。目的は「オーナー様の収益向上」ですから、そのために必要であれば、必要経費をかけるとか、賃貸条件を緩和するとかの提言を行います。オーナー様の要望を、すべて素直に聞いて行動しても、収益を減らす結果では管理会社は失格なのです。さて、この不動産会社のスタンスの違いが、オーナー様にどのように影響するのでしょうか。

【空室発生に対する考え方】
仲介会社の売上は、多くを仲介手数料が占めていますから、空室がないと、その手数料が稼げません。だから、原則的に、空室の発生は歓迎です。極端な話ですが、オーナーから預かっている物件から、1年間に一件も空室が出なかったら、仲介会社としては売上のメドが立ちません。
管理会社は、オーナーに対して一番に気にするのが「入居率」です。入居率の高さが、オーナーへの貢献度のバロメーターとなります。したがって、空室の発生は歓迎しません。空室の発生は、「賃料の低下」「修繕費の増大」「空き室の長期化」につながる危険性が、最近ではますます増している状況です。「収益向上」の大きなマイナス要因と捉えます。

【募集に対する基本姿勢】
歓迎しない空室発生が起これば、管理会社は当然のように入居に向けて最大の努力をします。特に、同業の不動産会社に、募集条件をすぐにオープンにします。国が定めている、不動産業者同士が閲覧できるデータベースに登録したり、費用をかけて、業者間にチラシを配布したりします。とにかく、仲介手数料収入よりも、空室を埋めることを優先します。
仲介会社の中には、空室発生の直後はできるだけ自社で決めようとして、同業者へ空室情報を公表しないところもあります。あるオーナーが長期の空室にしびれを切らし、別の業者にも募集を頼もうと訪問したときの話です。
「私の所有する○○マンションを募集してもらいたいんだが・・」「○○マンションならよく存じてます。でも、募集を任せていらっしゃるA社さんから、空室の情報は来てませんね」「そんなことないハズだが・・」
オーナー様の前で、A社に確認電話を入れてみると、「いま空室はありません」という返事。いぶかったオーナーが、今度はお客さんに扮して電話してもらうと、今度は「空いています」という返事が返ってきました。A社では、自社で決めて手数料を得たいために、周りの業者には一切、情報を回していなかったらしい、ということが分かりました。これは明らかに、オーナーに対する利益相反行為となります。

【入居審査するにあたっての基準】
仲介会社は、しつこいようですが、仲介手数料があがってナンボですから、入居審査は甘くなりがちです。
管理会社は、入居審査を厳格に行います。「滞納」は「空室」と同じだからです。たちの悪い借主を入居させると、空いてるときよりも被害が大きくなることさえあります。滞納は収益向上の最大の敵なのです。

【まとめ】
さて、「管理会社」と「仲介会社」の違いを説明してきました。少し極端な比較になった感はありますが、オーナー様が頼りにできる不動産会社はどちらでしょうか。 賃貸住宅の経営が難しい時代になりました。難しい、と言うよりは、顧客志向の経営と、貸し手中心の経営では、大きな差がでる時代になったと言えるでしょう。そんな時代を乗り切るためには、「オーナーの収益向上に尽くす」ことを目的とし、そのために必要な専門的ノウハウを積み上げた、賃貸管理会社をパートナーとしてください。